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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第30回イタリアのロシア車人気。その理由とは?
文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA/Stellantis
イタリア版・赤旗まつり
イタリアでもウクライナ-ロシア情勢が刻々と報じられている。我が街シエナの商店主の多くは「困ったものだ」と嘆く。ロシアの観光客は気前が良いことでそれなりに知られていたからだ。それは一部の高級別荘専門不動産店の物件案内に、イタリア語や英語と並んでロシア語が併記されていたことからもわかる。
イタリアとロシアとの近さは、今日に始まったことではない。1996年に筆者がイタリアに住み始めたとき、その政治的・文化的近さに驚いたものだ。新聞雑誌スタンドには、一般紙と並んで左派系新聞の日刊紙「連帯(ルニタ...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第29回「アバルト初のSUV」に驚くな!今も昔も南米製フィアットが熱い
文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA/Stellantis
アバルト・パルス
ステランティスは2022年3月、「アバルト・パルス(プルス)」をブラジル市場に投入することを発表した。アバルト・ブランド初のSUVであるとともに、ブラジルで初めてすべてを開発・生産するアバルト車となる。
アバルト・パルスは、ブラジル工場で2021年から製造されている「フィアット・パルス」をベースとしている。同国におけるアバルト・ブランド展開の第1弾となる。
スペックは明らかにされていないが、参考までに姉妹車フィアット・パルスのものを記せば、エンジンは4気筒1.3リッター自然吸気98HPと 3気...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第28回 駐車場「偶然ゾロ目ゲーム」
文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
毎日のささやかな楽しみ
スマートフォン内の写真ファイルというのは、あっという間に増えてしまうものだ。筆者の場合、気がつけば、すぐに700枚近く溜まってしまう。女房に常々指導されるように、撮影当日ダウンロードして分類すれば良いのだが、それがなかなかできない。だから撮影月を見ると、1年以上前の写真が平気で常駐していたりする。かつて、イタリア人の知人が年末にクリスマスパーティーのフィルムを現像したら去年のクリスマス写真まで入っていて筆者は大笑いしたものだが、今や彼を馬鹿にできない。
前置きが長くなかったが、先日スマートフォンの中にたまって...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第27回 さよなら「アジップ」? 最新イタリア給油所事情
読者の皆さんにとって、行きつけのガソリンスタンドは、どのブランドだろうか?
イタリアの石油ブランドといえば、多くの人が「アジップ」を思い出すに違いない。1995年まで二十数年にわたり「フェラーリ」F1のスポンサーにもなっていた、炎を吐く犬マークの、あれだ。
そうした大手石油ブランドのガソリンスタンドが次第に姿を消し、代わりに新たな勢力が台頭しつつある、というのが今回のお話である。
ローコスト系の台頭
日本ではガソリンスタンド(以下スタンド)の数が、2016年には31,467ヵ所だったのに対して、2020年には29,005ヵ所にまで減少している(出典:資源エネルギー庁)。
いっぽうイタリア...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第26回街角の傑作「フィアット127」を忘れるな!
文 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
写真 Akio Lorenzo OYA、Mari OYA、Stellantis
間もなく終わろうとしている2021年、振り返れば「ポルシェ・ボクスター」の25周年、「ランボルギーニ・ムルシエラゴ」の20周年、そして「ブガッティEB110」の30周年が多くのメディアを飾った。フォルクスワーゲン・グループの強力なコミュニケーション力が背景にあるのは、いうまでもない。
いっぽう、イタリア人の路上からも消えつつあるものの、筆者が今年の“歳男”ならぬ“歳車”として記憶にとどめておきたい1台がある。誕生50周年を迎えた「フィアット127」だ。
早世の...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第25回クルマ好きなら睡眠不足!?イタリア魅惑のホテル3選
文 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
写真 AkioLorenzo OYA/Mari OYA/NH TorinoLingotto Congress /DoubleTree by Hilton Turin Lingotto/Hotel Maranello Village
イタリアにおける自動車産業の中心地を挙げるなら第一がトリノ、第二がモデナとその近郊マラネッロである。前者がフィアットを中心とするポピュラーカーの都であるのに対し、後者はハイパフォーマンスカー&エンジンの里といえる。筆者の勝手な定義では、トリノは愛知県豊田市、モデナおよびマラネッロは静岡県浜松市周辺である。
今回...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第24回昼休みも閉めません! カー用品チェーンが(ついに)やってきた!”
文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
日本では当たり前でもイタリアに無いものは多々ある。たとえば日本のチェーン系コンビニエンス・ストアのような業態は、基本的に存在しない。取り扱い品目ごとの細かな規則やタバコ商などの高い参入条件、24時間営業を困難にする労働関連法、そして強力な労働組合、と世界的チェーンが参入をためらう理由が数々あるからだ。
それはともかく、イタリア自動車生活において、実は珍しいものといえば「カー用品チェーン」である。
ありそうで無かった
日本では至極当たり前の「オートバックス」「イエローハット」のようなカー用品販売と整備双方のサービスを提供するチェーン店...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第23回目覚まし時計は500ccエンジンーこれがマイクロカーだ”
文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
バイクショップで買える軽便車
日本ではトヨタ車体の超小型EV「コムス」を大都市で見かけるようになって久しい。
ヨーロッパでは2012年にデビューしたルノーの「トゥイジー」がそれに該当するといえる。
2020年にシトロエンがリリースした「アミ」もしかりである。
こうしたクルマは欧州で「マイクロカー」という、内燃機関車としてすでに存在していたカテゴリーに分類される。街乗り用の超小型車だ。今回はそのワンダフルな世界について紹介しよう。
起源のひとつとして挙げられるのは第二次世界大戦後の軽便車である。古いクルマに詳しい読者ならご存知の「イセ...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第22回サーキットの里と“峠のナイフ”
文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
スピードの聖地だけではなかった
ムジェッロ(ムジェロ)と聞いて、多くのCOVO読者が思い浮かべるのはサーキットであろう。
全周5,245kmのムジェッロ・サーキットは、長年にわたりロードレース世界選手権(モトGP)イタリア・グランプリの開催地として知られてきた。2020年9月には史上初のF1トスカーナ・グランプリが催されたことをご記憶の方も多いだろう。
こうしたレース以外にも、週末にはヒストリックカーやファンイベントに、さらには市販前車両のテスト走行にも年間を通じて使われている。
このムジェッロ、イタリア中部フィレンツェ旧市街からク...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第21回キミがいたから今がある!海外限定・日本ブランド車
文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
欧州限定ブランド“トヨズキ”?
筆者が住むシエナ市内で、少し前のことである。一旦通り過ぎてから振り返って、しげしげと見てしまったクルマがある。
ノーズにスズキの「S」バッジが輝いているにもかかわらず、どこかスズキらしくない。
フロントフェンダーには、トヨタ車のそれと同じ「Hybrid」のバッジがある。そもそもスタイル全体が、どう見てもトヨタである。
その名はスズキ「スウェイス・ハイブリッドSwace Hybrid」。トヨタが欧州で販売しているハイブリッドのワゴン「カローラ・ツーリングスポーツ」のOEM版であった。
このクルマの誕生に...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第20回トリノ人は「モーターオイル」を飲むークルマの都、あるビアカフェにて
文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
イタリア人、実はビール好き
イタリアを代表する自動車の都・トリノで、不思議な名前の店を見つけた。「Bici & Birra」訳せば、「自転車とビール」である。
イタリアのアルコール飲料といえば、ワインのイメージがある。事実、生産量ではスペインとフランスを押さえてヨーロッパ最大の生産国だ。
しかし近年この国で、めきめきと存在感を増しているのがビール、それも小さなブルワリー、つまり醸造所で作るクラフトビールである。
その勢いは、数で明らかだ。
農業団体「コルディレッティ」によると、イタリアでクラフトビールのブルワリーは2008年には僅か...
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大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! —伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 第19回 イタリアでフランス車パーツ店が繁盛するワケ
文と写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
空冷VWショップで修行
今年に入ってから風の便りで、筆者が住むシエナの隣町にフランス車パーツの専門店があることを知った。
連絡をとると、受話器の向こうの店主は「君のことを前から知っている」という。不思議に思いながら、我が家から約30kmのところにあるショップを目指した。
所在地を頼りに辿り着くと、倉庫街の一角だった。張り紙が指し示すまま呼び鈴を鳴らす。
鉄扉が開くと、赤いルノー4が顔を覗かせた。隠れ家食堂的な感覚である。
店主のマッシモ・デ・マルコさん(1984年生まれ)は、長身の若者だった。
到着の挨拶もそこそこに、なぜ筆者のこと...