シギノルフィーは、無事完走した。
あらためて、オーナーでもありドライバーの佐藤信也氏に参加の動機を聴いてみた。

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第3章 ~La Festa Mille Miglieに投影すること~

2010年にポルシェカレラを購入し、オフ会などに参加したが、そこは自分の居場所ではないと感じた。その後ミッレミリアを知り、ひとりで明治神宮のスタートを見に行った時、ブガッティがエンジンをかけるプロセスやそのエンジン音に魅せられ、また参加者を見てとても楽しそうに感じた。

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第3章 ~La Festa Mille Miglieに投影すること~
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第3章 ~La Festa Mille Miglieに投影すること~

純粋にこのレースに参加したいと思い、何も知らないまま参加可能なポルシェ356を購入していきなり参加した。その後、前オーナーがシギノルフィを手放すという話を聴き、どうしても欲しくなり、譲り受けることができた。お金はそのあと考えた。

今年は、台風の被害があった直後なので、いろいろ言われたりもした。またスタート前に筆者は、「この天候で開催するなんて、主催者は何を考えているんだ」といった声も耳にした。もちろんあの天候では、その声を非難するつもりはない。

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第3章 ~La Festa Mille Miglieに投影すること~

でも、行ってみないとわからない。ルートにある地元の方々にはとても喜んでもらえた。もちろん、被災地でも。最初は、被災地ではどんな見られ方をするのだろうと不安もあったが、実際に行ってみると、みんなに歓迎された。元気を与えたと同時に元気ももらった。特に被災地では、クラシックカーが走ってくれたことが風評被害を払拭してくれると思っているのかもしれない。

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メカニックの佐藤択氏は、トラブル対応でたいへんな思いをしたがこう感想を述べた。
「携われたことが嬉しい。そして完走できたことも。でもトラブル発生で自分の準備を反省している。」
短い言葉の中に漢を見た。

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ミッレミリアは、見ているより何倍も過酷なレースである。自然が相手。何が起こるかわからない中、常にいろいろ判断しながら走る。そのような状態のため、ドライバーとコドライバーが険悪になる参加者も少なからずいるという。でも、No.37のドライバーとコドライバーはちょうどいい関係性をキープしながらレースを続け、むしろ絆を深めることができたようだ。
今回のドライバーとコドライバーは、車は好きだけどメカニカルな面は素人。途中のトラブルで、メカニックからの指導でひとつずつ理解しながら成長してきた。そして、雨でも困難でも前に進むという、ひとつの目的を共有して完走を成し遂げた。

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No.37の完走は偶然や運によるところが多分ににあると思われるが、ここで思い出したのが、Planned Happenstance Theory。直訳すると計画された偶然の理論とでも言うのだろうか。偶然を計画するなんて、と思われる方もいらっしゃると思うが、これは偶然をただ待つだけでなく、自分で創り出せるように積極的に行動したり、周囲に神経を研ぎ澄ませたりして、チャンスをものにするといった考え方である。そしてその実践に必要な要因が、好奇心、持続性、楽観性、柔軟性、冒険心の5か条であると説いている。

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今回のレースを顧みると、まさしくこの5か条の精神でレースに臨んでいたことがわかる。
不確実性の高い環境で生きていくための人生訓が、このレースに凝縮されている。必要なことは、自然から逃げずにそのまま受け入れること、車の機嫌を感じ取り受け入れること、そして人を信じて受け入れること。なぜミッレミリアに参加し続けるのか、その疑問がちょっと解消したような気がした。

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最後にこのチームの今後について聴いてみた。
「本場イタリアのミッレミリアでの日本人最高位を目指したい」
なんと大胆な目標。わいわいがやがやと、決してお洒落ではない新橋の居酒屋で、とてもお洒落な夢を聴くことができた。

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今回、参加者から話を聴いてあらためてわかったことがある。
ミッレミリアに参加するには、いろいろなレギュレーションをクリアしなければならないが、実は明文化されていない大切なレギュレーションが存在している。それは、人とクルマを愛する「こころ」と「夢」をもつことであった。

イタリアの小舟を追いかけて―完―

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