
アバルトX1/9プロトティーポは後にWRCで活躍する事になるランチア037へと繋がるアバルトのマシンです。
戦力的な理由ではなくフィアットグループの営業的な事情で3台のプロトティーポの他に1台のスタラダーレが作られた後にランチアモンテカルロ(X1/20)にラリー活動が切り替えられ、それがランチア037へと続きました。

車名も付けて貰えず、開発ナンバーのX1/9がそのまま車名に なった不遇な一面もありましたが、デザインは勿論ベルトーネのガンディーニで車両設計はダラーラ、 エンジンはランプレディとイタリアのオールスターが勢揃いの上、コマーシャルにはフェラーリのニキラウダを起用したりする位の力の入れようでした。
ヨーロッパのカーオブザイヤーの栄冠だけでなく、10年間で一番優れた車としても選ばれた程の名車中の名車でした。

画像はラフな下描きの状態ですが僕が正に“青春”を過ごした X1/9がこれです。
20代前半は他には車を持てず、X1/9一台で旅行にデートにジムカーナ、そして二度の引越時にも大活躍をしました。
人が入れる程のフロントのトランクはその引越し時に大いに役立ち、シートの後ろには小さ目のコタツも積めました。
スープラに続きMR2の復活の噂記事が出て来ていますが、そんな経験から若者が持つスポーツカーに必要なのは、有効な“荷室”だと自動車メーカーには気が付いて欲しいと常々思っているのです。

この絵は車雑誌のカメラマンをしていた方が所有していたX1/9で、カメラマン氏が手離された後に名古屋市のショップの元に渡り、それを偶々出先で目にしてビックリした事がありました。
僕が以前乗っていたX1/9は、途中何人かのオーナーに渡った後にこのカメラマン氏により東京に持って行かれ、愛読していた車雑誌の編集者の所有になり紙面に登場もしました。
色んな縁を感じると言うか車業界が狭いと言うかですね。
アバルトX1/9プロトティーポや件のカメラマン氏のX1/9といい僕のX1/9もですが、ノーマルで素の状態のX1/9はまだ描いた事が無いので、いつかそんな状態のを描いておかねばと思える名車であります。