※価格について論評している場合がありますが、あくまでも当時の新車価格に基づいています。
<試乗グレード>
マツダ RX-8(4速AT)

世界で唯一、マツダだけが成功した「ロータリーエンジン」。RX-7がなくなってから、ロータリーを搭載しているクルマはなかったが、RX-8で新世代のロータリーエンジンが搭載された。さて、その新世代のロータリーエンジンはどんなものであるのだろうか、また、RX-8と言うクルマはスポーツカーというコンセプトだけではなく、4人乗れてファミリーにも使えるクルマであるという。実際はどうなのだろうか、見てみることにしよう。今回は、RX-8としては珍しい、4速のATモデルに試乗してみた。

今回の試乗車は、RX-8の中でも最も安い、いわゆるベースグレードと言われるクルマである。RX-8には2タイプのエンジンがあるわけだが、このベースグレードはおとなしいエンジンのほうである、とはいえ、最高出力は210ps、最大トルクが22.6kgmある。トランスミッションは、4速のATを試乗したが、他に5速のMTが組み合わされるモデルがある。ハイパワーモデルには6速のMTが組み合わされるものがある。
さて、まずエンジンをかけての第一印象は、エンジン音はレシプロエンジンとはまるで違うことだ。非常に澄んだ音である。今回は、スポーツカーとしては若干高めにシートをアジャストして走ってみた。トランスミッションが4速のATということで誰もがイージードライブを楽しめるクルマであるということが今回乗ったこのクルマの魅力である。

いろいろマニュアル風にしたり、パドルシフトを使ってみたりしたが、4速ということで、あまり積極的な変速は出来なかった。もうこのクルマとなるとオートマチックを普通にDレンジでいれたまま使ったほうがいいという印象である。しかし、速い速度から1速に無理やり入れようとしても入らないようになっていた。そのあたりの気配りはありがたい。しかし、やはりマニュアル風に使うのならば、5速や6速のATが欲しい印象である。

話題の新世代ロータリーの実力はどうかというと、なかなかのものである。気持ちの良いエンジンで、乗ってみると確かに楽しいエンジンであることは確かだ。しかし、このロータリーのエンジン特性を楽しみたいと思ったら、やはり、4,000回転や5,000回転以上まわさないとその気持ちよさを感じることがあまりできない。なかなか公道で、普通に走っているときにはその気持ちよさを感じることは難しいと思われる。しかし、スムーズに回り、パワフルで非常に気持ちのいいエンジンであるということは確かだ。
乗り味は正直スポーツカーということで乗る前には、ほとんど期待していなかったのであるが、今回の試乗車のホイールは16インチということで、意外にしなやかな乗り味を示していた。ステアリングはスポーツカーだから、敏感でステアリングの径も小さめ。スポーツカーとしては必要な要因なのであろう。シートはバケット過ぎるような印象ではなく、あまり締め付けられるようなシートでなかったというのもなかなかいい印象だった。
後席は思ったより広いが、やはり長時間となると疲れるであろう。しかし、今までの2ドアに比べれば乗り降りもしやすいし、ずっと広い。頭上の空間も着座位置が低いため意外に広いものである。
全体的な印象として、やはりロータリーには何か惹かれるものがある。どこのメーカーも失敗して、マツダだけが成功させたロータリーエンジン。これから先、どんどん進化させて、ロータリーを熟成して欲しい。ぜひ、そのときにはATを5速か、6速にしてもらいたい。
※マイナーチェンジで、ATが後に6速化されました。