魅せられて
自分の中にある、そのクルマに魅せられるポイントは様々です。
ある時はノーズであり、ある時はリアビューだったりします。
そしてそのすべてを飛び越えて一気に引き込まれてしまったのはこのインテリアでした。
BiturboMaseratiが持つ魔性の魅力はこのGHIBLIによって完結されて、そして閉じられました。
まるで中世の馬車のインテリアを引き継いできたかのその手法には世界中の好事家たちが魅せ
られたと言えます。もちろん僕もその一人であり、今もなおこのモデルを愛する方々が後世に
残すクルマとして保有されています。

GHIBLIに焦がれ、憧れた
このリアビューは発売された当時では最先端のハイデッキ、しかも222から引き継ぐ超スラン
トノーズと相まってチョイ悪な雰囲気を醸し出している「ヤンチャ」なクルマでした。
Lussoの創業が96年、スタートするならこのクルマからと心に決めて入手したモデルは5速の
初期モデル。相当苦しめられましたが全く辛くなかったのは恋していたから。(笑)
様々なトラブルを乗り越える機会に感謝しながら故障データ収集と対処法を蓄積していけたの
は憧れから。
今ではこうして自社に帰還する愛車たちを受け入れながらメンテナンスや引継ぎを行える状況
にまでたどり着きました。LussoCarsにとっては共に過ぎしてきた盟友のようなモデルです。

リアビューは世代を超えて
変わらぬ美しさという観点から言うならば、歴代の911に引き継がれる不変のスタイルはこの
リアビューからも感じられます。
後軸以降にエンジンを搭載するRRレイアウトに拘って継承される911のリアビューは独特です。
世代ごとの進化は感じながらも変わらない美しさを守る事で普遍的な魅力を醸し出します。
ボディ全体のデザインも曲線と直線の融合具合が素晴らしく、角度によってはグラマラスであ
り、角度によってはスマートでもある見せ方は素晴らしい。
ドイツのモノ造りの精神が集約された、精密な機械式時計のような911。3世代のリアビューを
並べて眺めてみて前より好きになれた気がします。

イタリアの美しき系譜
911のそれに比べてフェラーリのリアビューは華やかです。
美しくなければならないという宿命を背負っているかの如く存在するフェラーリ。
パフォーマンスというクルマの中でも分かりやすい数値においても他を圧倒しながらの美しき
フォルムはクルマ好きの心を完璧に惹きつけます。
その中でもこのリアビューには引き込まれます。どこから見てもらっても構わないという自信
に満ち溢れたスタイルには絶対王者感を感じずにいられません。
美しいという事を知ってなお美しい…。勝てません。

この458に至ってはF1からのフィードバックが空力を纏ったリアビューとしてその美しさを魅
せています。
リアフードにはまるでリアウィングが埋め込まれているかのようなデザインが施され、時代の
クルマである事をさりげなく主張しています。
911と同じく世代を超えて続くその後世に引き継がれる魅力はこのような作り手の思い入れと
情熱により熟成されていくと感じます。

特別が存在する車のリアビュー
後ろ姿が素敵なクルマたちには人を惹きつける何かが存在しているように感じます。
リアのコンビネーションランプのデザインだったり、トランクフードの形状、マフラーの見せ
方やエンブレムの配置。デザイナーの思い入れが各部を繋ぎ合わせて車両が生み出されていく
のです。
そんな一つ一つの特別な拘りがパーツとして集まってクルマが完成しリリースされています。
イタリアにはイタリアの、ドイツにはドイツのナショナリズムによって生み出された個性を保
有するクルマたち。どんなクルマにも一つくらいは輝く個性が与えられていて、そこにファン
が存在するのが面白いです。
そんなクルマたちを眺める一人一人の特別は様々ですが、リアビューから感じる魅力はとて
も大切な魅力の一つと再認識します。

歴代のオーナーに愛されてきたクルマや、長く時代に愛されてきたモデルにはその立ち姿から
も魅力が伝ってきます。
メンテナンスに関するデータに支えられ、歴代のオーナーの愛に支えられて後世に残すクルマ
選びは続いていくのです。