大矢アキオ Akio Lorenzo OYA 
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター

2018年4月に北京モーターショーが開催されたのに合わせ、今回は中国におけるイタリア車・フランス車の話をしよう。

世界の最大の自動車マーケットである中国で、伊・仏ブランドの存在感はけっして強くない。
それは街角の印象だけでなく、数字が示している。2017年の販売台数はフォルクスワーゲンの約313万台に対し、FCA(フィアット・クライスラー)は約24万台と、桁がひとつ少ない。

画像: アルファ・ロメオ・ジュリア。クアドリフォリオ仕様は「四叶草版」。中国での価格は、94万9800元(1612万円)から。

アルファ・ロメオ・ジュリア。クアドリフォリオ仕様は「四叶草版」。中国での価格は、94万9800元(1612万円)から。

画像: アルファ・ロメオのコンパニオン。

アルファ・ロメオのコンパニオン。

PSAはとくに深刻だ。「オートモーティブニュース・ヨーロッパ」電子版によると、2014年に73万4千台だった販売台数が、2017年には半減近い38万7千台にまで減少している。
PSAのカルロス・タバレスCEOは株主に対し、「シェア・収益性とも低下した。順応性も不足していた」と中国事業が目標に達していないことを認めている。2016年には東風からの出資も受け入れ、業績拡大が期待されただけに予想外の苦境だ。

タバレス氏の「順応性」という言葉を、より具体的に置き換えるならSUV、中国語でいうところの「越野車」市場への対応である。
イタリアやフランスのブランドは、SUVを中国市場に導入するタイミングと、ラインナップの拡充が遅れたのだ。

それを挽回すべく、FCAは合弁先である広州汽車(GAC)とジープ・ブランドの生産に力を入れている。前述のFCAによる2017年販売台数のうち、実に20万台はジープによるものだ。
それを援護射撃すべく、今回の北京モーターショーで、FCAはアルファ・ロメオのステルヴィオを投入した。中国国内生産でないため高額の関税が課され、39万9800元(約678万円)に達するという価格的ハンディを負いながらの発売だ。結果を見守りたい。

画像: 2018年4月25日から5月4日に開催された北京モーターショー会場で。アルファ・ロメオのブース。なお「阿爾法・羅密欧」は、ギリシア文字のAlfaと、Romeo (& Juliet)の従来からの漢字表記に準拠したもの。

2018年4月25日から5月4日に開催された北京モーターショー会場で。アルファ・ロメオのブース。なお「阿爾法・羅密欧」は、ギリシア文字のAlfaと、Romeo (& Juliet)の従来からの漢字表記に準拠したもの。

いっぽうPSAはDSシリーズの最上級車である「DS7」を展示した。こちらは長安汽車との合弁による中国生産である。ファーウェイが提供するコネクテッド機能も搭載する。価格は25万元(約424万円)からだ。

しかしながら筆者個人的には、北京や上海のショーを訪れるたび惹かれてしまうものといえば、現地市場をターゲットにしたセダンだ。
中国は「3ボックス・セダンすなわち高級車」という意識がいまだ根強い。両親や祖父母を後席に同乗させる機会が多いため、彼らの保守的な趣向が車選びに反映されることも背景にある。したがって、各ブランドともセダンを充実させているのである。

画像1: 東風プジョー308

東風プジョー308

画像2: 東風プジョー308

東風プジョー308

今回は北京ショーのブースから、プジョーとシトロエンによるものを紹介しよう。
上の2枚の写真は東風プジョーの308である。中国で「308」とはセダン版を指し、ハッチバック版は「308S」というネーミングが与えられている。価格は9万9700元(約166万円)からだ。
東風シトロエン(雪鉄龍)に目を移すと、C4(フランス語読みを基に、世嘉と併記されている)がある。
こちらも日本で販売されているC4のハッチバックではなく、セダンボディだ。
セダンといえば従来から東風の合弁工場とPSAスペイン工場では「C-エリゼー」と呼ばれるモデルが存在するが、このC4はその上級版という位置づけである。価格は308Sとほぼ同じ9万8千元(約166万円)である。

画像: 「東風標致」とは東風汽車とプジョーの合弁会社のこと。

「東風標致」とは東風汽車とプジョーの合弁会社のこと。

画像: 東風プジョーのコンパニオン。

東風プジョーのコンパニオン。

しかし、何より予備知識がないと混乱してしまう中国版シトロエンといえば、「C6」であろう。
日本でファンがすぐ頭に思い浮かべるC6(2005-2012年)ではない。同じく中国で生産されているプジョー508の姉妹車である。2016年北京ショーで発表されたものだ。

画像: 大矢アキオのアウトモービレ! カンタービレ! 
—伊仏を中心に路上クルマ風景をつれづれなるままに— 
第4回 魅惑と困惑の「チャイナ・スペシャル」

このC6の存在を本場フランスのシトロエン・ファンに話すと、「あれはプジョーであって、シトロエンではない!」と即座に切り捨てた。
別のシトロエン・ファンはもっと過激で、C6はおろか、トヨタとのチェコにおける合弁によるヨーロッパ市場用車種「C1」も、「シトロエンと呼ぶな!」と烈火のごとく否定した。

プジョーによるシトロエン吸収は1976年だから、もう42年になる。今日までに、さまざまな姉妹車も誕生してきた。
それでもなお、原理主義的なファンが存在する。
シトロエンが中国でラインナップを拡充するたび、彼らを悩ませ続けるに違いない。

画像1: 東風シトロエン(雪鉄龍)C4世嘉

東風シトロエン(雪鉄龍)C4世嘉

画像2: 東風シトロエン(雪鉄龍)C4世嘉

東風シトロエン(雪鉄龍)C4世嘉

画像: 東風シトロエンC4

東風シトロエンC4

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