1.初めに。

こんにちは。ラッキーの保護者 です。

皆さんは、単気筒バイクにどのようなイメージを抱いておられますか? 「旧式」「廉価車」「非力(= 遅い)」「振動が凄い」等、ネガティブなことを思い浮かべられる方も多いかと推測します。

敢えてそのことを否定はしません。しかし、逆にそれが故に単気筒車は奥深い魅力を秘めています。そこで今回は標題のとおり、単気筒ならでは醍醐味について語りたいと思います。

2.単気筒バイクの魅力とは?

(1)軽量、スリム & コンパクトな車体。

当然のことですが、単気筒はピストンが 1個しかないので構造がシンプル。それ故にエンジン本体は勿論のこと、車体も軽量でスリム&コンパクトにまとまり、停車時の取り回しから低速時の扱いなどが容易なため、余計な神経を遣う必要がない分、初心者にも取っ付き易いと言えるでしょう。

(2)心地よい鼓動感とサウンド。

ピストンが1個ですから単気筒では1回1回の爆発がはっきりと感じられるため、マルチシリンダーのバイクにはない身震いや音を楽しむことが出来ます。それが故にスピードを上げることばかりがバイクの楽しみではなく、軽く流しているときにもバイクとの会話を楽しむことが可能です。

(3)大地を蹴るトラクション感覚。

4気筒エンジンの回り方が「タ・タ・タ・タ・タ」と連続しているのに対して、単気筒は「タン・タン・タン」と明確な鼓動を伴うため、スロットルを捻る右手首の動きとバイクを前に進めるトラクション感覚がシンクロしており、リアタイヤが路面を掴んでいるグリップ感がよりリニアに感じられます。

(4)使い切れる適度なパワー。

いわゆる “ビッグシングル” と呼ばれるモデルであっても、発揮するパワーはせいぜい 50馬力です。それ故スペックを重視する方は「単気筒 = 遅い」と思われることでしょう。しかし侮ることなかれ。単気筒は公道で多用する中低速域でのトルクが豊富なため、安全かつ合法な速度域に於いては
200馬力を誇るリッターSS にも遜色のない走りが可能で、持てるパワーを十二分に堪能出来ます。

(5)自由自在に操る喜び。

軽量・スリム・コンパクトの三拍子が揃った素性の良い単気筒車ではありますが、その中でも、大きな排気量のモデルはパフォーマンスも高く、ある一定以上のペースをキープして走るにはかなりのコツが必要です。スロットル操作ひとつで加速の仕方が変わるなど実に表情豊かな反応を見せ、扱い方次第で走りがまるで違ってきます。また、フラットだと思われているエンジン特性もコーナーリング時に使えるレンジが意外と狭く、シフト・アップやシフト・ダウンにも注意を払う必要があり、走りの組み立てを工夫してそれが巧くいったときには快感さえ覚えます。

以上のように単気筒バイクには、そのスペックだけでは計り知れない独特な魅力があるのです。

3.魅惑の単気筒バイクたち。

私は 30年来ずっと単気筒バイクを乗り継いできました。そこで以下、これまで実際に所有してきたモデルを中心に、魅力溢れる単気筒車の数々をご紹介したいと思います。

(1)ジレラ・サトゥルノ 350/500

私が単気筒にハマるきっかけとなったバイクです。'88年に登場したこのモデルは、水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 349cc/492cc 41馬力/46馬力のエンジンをトラス構造の鋼管ダイヤモンドフレームに搭載、スポーツシングルという概念を定着させた日伊合作車(企画及び車体設計 = 日本、生産 = イタリア)で、ブレンボのブレーキ、マルゾッキの前後サスを採用、マービックのホイールにピレリのラジアルタイヤ(MP7)を履くなどマニアを唸らせる豪華な内容を誇りました。

画像: Photo from https://sumally.com/p/271415

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(2)ヤマハSR400/500

サトゥルノを購入して5年後の '93年に増車しました。言わずもがな、ヤマハが誇るロングセラーの名車で、空冷4ストローク単気筒SOHC 399cc/499cc 27馬力/32馬力のエンジンを鋼管セミダブルクレードルフレームに搭載しています。発売は '78年で、逐次 改良を重ねながらも基本構成を変えることなく生産が継続され、排出ガス規制の強化に伴って2017年夏に一旦 生産中止となったものの、その人気は根強く、既にその復活が確実視されています。

画像: Photo from https://www.webike.net/bike/878/

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(3)ビモータ・スーパーモノ(BB1)

ビモータ唯一の単気筒車。規制緩和の恩恵により大型 2輪免許を取得した '97年に購入しました。
'95年に登場したこのモデルは、BMW F650 用の水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 652cc 48馬力のエンジンをアルミ楕円パイプ製トラスフレームに搭載、当時 欧州で隆盛だった S.O.S(サウンド・オブ・シングルズ)参戦を目的に開発されました。その最大の特徴はエンジン下に配置された樹脂製の燃料タンクで、設計・開発を担った ピエルルイジ・マルコーニ の熱き想いを具現化していました。

画像: Photo from http://www.philaphoto.com/imageLibrary/displayimage.php?album=1208&pos=1

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(4)ホレックス644オスカ

2011年に新車で購入。'91年に登場したこのモデルは、ホンダの輸出専用車 NX650ドミネーター用の空冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 644cc 52馬力のエンジンを 9種類のクロモリパイプ を用いた鋼管ダイヤモンドフレームに搭載しています。設計は RCB の開発も手掛けた元ホンダの技術者の方で、フレームはイタリア製、ブレーキ及び足回りは日本製、その他フランスやイギリス製のパーツも使用するなど国際色豊かな車両で、最終組み立てはドイツで行われています。

画像: Photo from http://mcdb.g.dgdg.jp/horex/spl/osca_int1.htm

Photo from http://mcdb.g.dgdg.jp/horex/spl/osca_int1.htm

(5)ロイヤルエンフィールド・クラシック500

2013年に購入。バイクの楽しさは速さだけではないことを改めて思い出させてくれたモデルです。
基本的に '50年代の設計そのままの車体に 2008年に登場した新開発の空冷4ストローク単気筒OHV
499cc 27.6馬力の UCE(Unit Construction Engine)を搭載しています。非力なエンジンに半乾燥で 187㎏と思いの外重い車体の組み合わせで決して速い車両ではありませんが、4000回転で 4.2㎏-m を発生する分厚いトルクにより、タイトな峠道では結構なペースで楽しむことが出来ます。

画像: Photo from https://www.cgtrader.com/3d-models/vehicle/motorcycle/royal-enfield-classic-chrome-2016

Photo from https://www.cgtrader.com/3d-models/vehicle/motorcycle/royal-enfield-classic-chrome-2016

(6)ドゥカティ・スーパーモノ

私の永遠の憧れの単気筒バイク。'93年に登場したこのモデルは、S.O.S での勝利を目的に開発・市販された純粋なレーシンマシンで、有力チームを対象に僅か 67台のみが生産されました。その開発は
ピエール・テルブランチ(デザイン)、マッシモ・ボルディ(エンジン設計)及び クラウディオ・ドメニカーリ(車体設計)によるもので、水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 549/572 cc 75馬力のデスモドロミック・エンジンを鋼管トラス構造のフレームに搭載、水平に配置されたシリンダーにはダイナミックバランスが 90度V型2気筒に相当して第二のピストンのように作用する「ダミーコネクティングロッド」を採用、足回りには、WSB で活躍していた "888レーシング" に準ずるオーリンズの前後サスやマルケジーニのマグネシウム・ホイールを標準装備していました。

画像: Photo from https://www.bonhams.com/auctions/22125/lot/277/

Photo from https://www.bonhams.com/auctions/22125/lot/277/

(7)ガリーナTGA6ーS1

これも憧れの1台。'91年に登場したこのモデルは、WGP にてスズキのワークスマシンと共にニ度のワールドチャンピオン獲得という輝かしい実績を持つ ロベルト・ガリーナ が S.O.S に一石を投じるべく開発したマシンで、スズキDR800S 用の油冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 779cc 56馬力のエンジンを、殆ど250ccに等しいアルミ・ツインスパーフレームの小柄な車体に搭載していました。

画像: Photo from https://www.bolt.co.jp/sygn_f/gallina.asp

Photo from https://www.bolt.co.jp/sygn_f/gallina.asp

(8)ヤマハSZR660

これは異色の1台。'95年に登場したこのモデルは、伊ベルガルダ・ヤマハ(現:ヤマハ・イタリー)が企画・生産をしていた車両で、XTZ660 用の水冷4ストローク単気筒SOHC5バルブ 660cc 48馬力のエンジンを後方排気時代の TZR250(3MA)のそれをベースにしたアルミ・デルタボックスフレームに搭載、フロントフォークも TZR 用の倒立式を流用、リアショックはドイツのボーゲ製を採用しており、純国産では成し得ないグラマラスなスタイリングは ヤマハのデザインを手掛ける GK の案を基にオランダで仕上げられたもので、"フォックス・アイ(狐の目)" と呼ばれるヘッドライトなど、非常に個性的で異彩を放っていました。

画像: Photp from http://www.motorcyclespecs.co.za/model/yamaha/yamaha_szr660%2095.htm

Photp from http://www.motorcyclespecs.co.za/model/yamaha/yamaha_szr660%2095.htm

(9)ホンダ・スーパーモノ644(コンセプトモデル)

最後は、非常に残念だった1台です。 '95年の東京モーターショーに参考出品されたこのモデルは、ホレックス644オスカ と同じ NX650ドミネーター用の空冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 644cc のエンジンを同社として初のトラス構造の鋼管ダイヤモンドフレームに搭載していました。惜しくも市販には至らなかった(営業戦略上の判断と言われています)ため詳細は不明ですが、足回りには、フロントにインナーチューブ径 45mm でフルアジャスタブルの倒立式フォーク、リアはアルミ製でトラス構造のスイングアームとエンジン下にマウントされたショックユニットが組み合わせるなど、非常にユニークで完成度も高かった(と思う)ので、プロトタイプで終わったのが残念でした。

画像: Photo from https://ameblo.jp/ninjakaze/entry-12066525186.html

Photo from https://ameblo.jp/ninjakaze/entry-12066525186.html

以上、捻くれ者の私の嗜好により希少なモデルばかりをチョイスしてご紹介をしてきましたが、これ以外にも ヤマハSRX400/600 や スズキ・グース250/350、異色なところではスズキDR800Sなど魅力溢れる単気筒モデルが過去には数多く存在しました。今思えば良い時代でしたね。

4.最後に!

今回は、単気筒について私の独断と偏見に満ちたご説明を差し上げましたが、如何せん素人の戯言であり、ご異論のある方もおられるかと思います。特に前段で述べた単気筒の魅力に関しては、アンチ単気筒派の方からしたら、それこそが逆に単気筒モデルを否定する要素なのかも知れません。

しかしながら、いつの時代においても、単気筒には単気筒なりの楽しさが存在すると私は信じます。現在、単気筒のロードスポーツは 250cc の一部とそれ以下の小排気量モデルしかラインナップされておらず壊滅状態にありますが、単気筒はまだまだ無限の可能性を秘めており、最新テクノロジーによるビッグシングルの復活をメーカーさんにお願いしたいのですが、いかがでしょうか?

以上、長々と書き散らかしてきましたが、最後まで読んでいただき、有難うございました。

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