想いが募るコクピットの風景

それまでに勤務していた大沢自動車販売を退職することを決めたのは1995年の晩秋、特に会社での勤務が嫌になった訳ではなく、単一メーカーのディーラーセールスとしてではなく自分の好きなクルマに拘って取り扱いがしたいという気持ちが募ってしまったから。
当時の自分が担当させていただくお客様にも後押しされて(笑)何の地図も行先もない航海を始めてみようと決めてしまった訳です。
正規ディーラーに勤務していましたがイタリア本国仕様への憧れは強く、自分のオーダーで思いのままのクルマを手に入れたい。
そんなクルマ選び解禁のきっかけはこのコクピットから始まりました。

画像: 想いが募るコクピットの風景

自分のタイムマシーン

『ALFA916Spider 3.0V6』日本ではまだ未導入モデルのしかも3リッター。
SZの販売以来ALFAのV6の魅力に取りつかれていた自分にはこのクルマ以外の選択肢はなく発注。
日本到着は95年の11月、納車と同時に新しい未来の第二幕が開いたかの感覚に包まれた記憶から始まりました。
クルマのコクピットに身を収めると様々な記憶がよみがえってきます。
少年時代に感じたクルマの匂いとガソリンの匂いと運転への憧れ、そして助手席からの眺めと家族との記憶。
でも、この916のコクピットは自分にとっては特別な場所なんだといつも感じます。
何も見えない時を未来と繋いだ場所として忘れられない数々の思い出を繰り返し再生してくれます。
この車両は実は自分のクルマだったモデルよりも新しくなっていますが、ここに座るとこのクルマとLussoが始まった時の記憶が溢れ出てきます。
忘れられない想いや希望、その時のすべての想いがタイムマシーンに乗ったかの如く溢れてくる、そんな感じです。

画像: 自分のタイムマシーン

heart of ALFAROMEO

そして当時の記憶はALFA V6ユニットでも呼び起こされます。
このエンジンは正常進化した24バルブとなりますが、当時の愛車はV6 SOHC。
まるでSZのユニットを横置きに載せたんですかって聞きたくなる吹け上がりを踏み込んで感じた時には自分の選択に対して自画自賛の状態。
このクルマで船出ができて、この先の航海に有った不安が一気に晴れていった事を忘れません。
運転が楽しくなる、そんなクルマたちに囲まれればそれでいい。
そんな楽観的な気持ちになれたのはこのALFAのV6ユニットの魅力のおかげだったと今も感じます。
今この916モデルに拘れば様々な選択肢がある中で、自分の心の中で過去から今までをまっすぐに繋げてくれる大きな役割はこのV6なんだと排気音を聞く度に確信します。
心を掴まれたのはこのエンジンだったのだと。

画像: heart of ALFAROMEO

美しくなければ許されない気質

やはりイタリアのクルマの素晴らしさは何年経過しても色褪せない魅力に尽きます。
多くのクルマが年数の経過と共に少しずつ魅力を失い輝きを失っていく中で、イタリア車は少し違う事を知っています。
クルマとして生まれた時からその宿命は「美しくなければならない」。
その存在は発表された時がピークのクルマたちとは全く異なり、「老いてなお輝く」魔法を生み出す際に関わったすべての関係者の愛情と熱意でかけられているのです。
枯れてからがカッコいいイタリアオヤジのごとく、時間の経過に追い越されない魅力を振りまき
ます。
しかし、車齢(年式)を重ねて醸し出す魅力はもちろんクルマだけが担っている訳ではないと思います。
最後の味付けはそのクルマのオーナーが時間をかけて仕上げていくのです。
そしてこのプロセスにはやはり愛情が必要になります。
「クルマ愛」が注がれるクルマの中で素材としてのイタリア車は最高の相手だと思います。

画像: 美しくなければ許されない気質

作り手の想いと共に生きる

こうして自動車趣味人の方々が残してきたクルマたちを眺めていると、単なる自動車ではなく時代の生み出した作品の一つ一つに見えてきます。
エンジニアとデザイナーとメーカーによる共同作業が生み出した奇跡的な一台。
クルマがクルマとしてその時代を生きた証は現在もその姿を残し、機能して、人を楽しませたり喜ばせたりすることなのではないでしょうか?
単なる乗り物としてのクルマではなく様々な思いが募って過去とこれからを繋ぐ大切な存在なんだと感じています。

後世に残すクルマ選びはこうして続いていくのです。

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