記憶の中に残るマセラティは…Biturbo

街中を運転していてマセラティを見かける頻度が高まっていると感じ始めた頃には、取扱ディーラーにおいて過去の記憶から消去されつつあったモデルがBiturboでした。
1990年代を生き切ったそのモデルには切なさと情熱と高貴さが互いを支え合う形でバランスされた魅力が溢れていました。
それは荒馬に牽かれる美しく華奢な馬車を操縦するかの如く心が満たされるクルマでした。
当時から取り扱いディーラーですら時にはお手上げ状態になる事もありましたが、その時代に真っ向勝負したメカニックやセールスにとってBiturboは惹かれる存在でもあったのです。
「難攻不落」まさに多くの関係者が抱えたこのクルマのイメージでした。

画像1: 記憶の中に残るマセラティは…Biturbo

Biturboのモデル中、ショートホイールベースのカリフとスパイダーはLussoにとっても魅力に溢れていました。
90年代に入りそれまでの歴代モデルから少しだけ信頼性を蓄えてきたBiturbospyderを扱う上で、これまでの故障神話は我々に楽しい時間を供給してくれました。
この美しいフォルムを持つクルマを想いのままに走らせる為にすべき改善を見つける度に魅力が増していきました。
数々のトラブルシュートが結果としてこのクルマが後世に残るための処方箋として貴重なデータを蓄積し続けたのです。

画像2: 記憶の中に残るマセラティは…Biturbo

ガラスのハート

このエンジンルームを見つめて深夜まで話し合いが続く事も多々ありました。
ある回転域までは問題ななく、しかしそのポイントを境に不具合という言葉では表せないほどの不調が顔を出す。
エンジン本体ではなく、連結されるすべての箇所に問題が潜んでいる状況でした。
発電機や過給機自体の信頼性を高める事も必要だったり、バイパスするすべてのパーツの見直しも必要とされるクルマ。見放されてもおかしくはないと…。
しかし完調の時のこのエンジンの気持ち良さは他にない歓びを与えてくれる事もまた事実。
時代を背負った荒くそして脆さがあるガラスのハート。自制心を失ったら一瞬で牙を剥くピーキーな性格。まるでジキルとハイド的二面性。不思議というより魔性。
これがBiturboなんだと思います。

画像: ガラスのハート

引き継がれる貴族の馬車のインテリア

このインテリアに心を奪われてこの時代のマセラティに恋した方々も多かったのでは?
私もその一人として愛すべきこのインテリアに包まれた際には至福の時を過ごせたと記憶しています。
そう、恋愛関係がなければならないクルマだったのです。
レザーとウッドを贅沢に使ったBiturboのインテリアは中世から引き継がれる高貴な馬車のそれを後世に残した物と理解しています。
英国車とも違い、ドイツでは造りえないイタリア人の美意識とナルシズムが生み出した妖しい雰囲気を持つ車内に身を沈めステアリングを操る。
そして荒くれる馬をまとめ上げて操る最高のドライビングはビジュアルで昇華するのです。

画像: 引き継がれる貴族の馬車のインテリア

これからのBiturboMaserati

もう、出会えることすら少なくなってきたBiturboMaserati。
新しいドアを顧客に開いたMaseratiは安心して使える日常を供給する代わりにある時代のモデルに封印をしたかの仕打ちを与えてしまいました。
現行マセラティを広める事は購入後のリスクを感じさせない事から始めなければならない事は理解できます。
それまでとは生まれかわった事を数年かけて証明し、分かりやすく敷居を下げて門徒を開いたのです。
その橋渡しをした2000年中期までのモデルに感謝をしつつLussoCrasではBiturboモデルを愛しています。
与えられた信頼性よりも自ら手に入れた信頼性を信じ、自分のクルマとしてすべてを分かり合えた上で遭遇するトラブルを受け入れて楽しむ。
そんなクルマ選びが後世に残すクルマたちを支えていくのだと、このクルマは教えてくれます。
後世に残すクルマ選びはこうして続くのです。

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