10月27日から11月5日までの10日間に渡って東京ビッグサイトで開催された、第45回東京モーターショー2017。今回は開催前から海外メーカーの参加見送りや、主催者でもある日本自動車工業会の西川廣人会長が社長を務める日産自動車の無資格者による完成検査問題などが発覚し、モーターショーの盛り上がりに水を差す結果となってしまいました。

さらに最終的な入場者数が前回比94.9%の771,200人と、80万人を割ったことで「東京モーターショーは衰退した」、「盛り上がりに欠けた東京モーターショー」という記事がニュースサイト(主に自動車関連以外の)に並んでいたのを目にした方も多いと思います。

入場者数のカラクリ

画像: © 2017 Japan Automobile Manufacturers Association

© 2017 Japan Automobile Manufacturers Association

しかし、本当に今回の東京モーターショーは盛り上がっていなかったのでしょうか? いやいや、そんなことはありません。入場者数は確かに前回よりは減少してしまいましたが、実は今回の東京モーターショーは前回よりも1日少ない10日間の会期だったのです。つまり、1日当たりの入場者数で考えれば前回を上回る数値というわけ。

また、書き入れ時ともいえる最初の週末(10月28日~29日)には大型台風が直撃するという不運も重なり、29日の入場者数は平日をも下回る71,600人と低調に終わってしまいました。一方で11月2日は、会場を東京ビッグサイトに移してから過去最高の平日入場者となる87,400人を記録していることからも、総入場者数だけで「低調だった」と判断するのは間違っていると言えるでしょう。

EVシフトが鮮明に?

画像: プレスデーにのみ展示されていた黄色の日産・リーフ

プレスデーにのみ展示されていた黄色の日産・リーフ

もうひとつ、報道で目に付いたのがEV(電気自動車)に関する記事。まるで全てのメーカーが足並みをそろえてEV化に向けて進んでいるかのようなものもありましたが、それが正しくないことは会場に足を運んだ方ならすぐにわかることでしょう。

マツダブースではガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良いところだけを掛け合わせた新たなガソリンエンジン「SKYACTIV-X」が発表され、それを搭載されるとされるコンセプトカー「魁(カイ)CONCEPT」には多くの人だかりができていましたし、スバルブースに展示された同社のハイパフォーマンスカーの将来像を示すコンセプト「VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」には、水平対向エンジンとシンメトリカルAWDが搭載されるとアナウンスされていました。

ちなみに日本メーカーで一番EVに力を入れている日産自動車のブースでは、プレスデーこそリーフが複数台展示してあり「EVシフト」をイメージさせていましたが、一般公開日になるとリーフは1台だけ(NISMOとステージ上のものを除く)となり、その代わりにGT-Rから軽自動車までのガソリンエンジンを搭載した市販車が展示されていたのでした。つまり、日産ブースをみて「EVシフト」を感じた記者の人は一般公開日に足を運んでいないということで、それなのに「盛り上がっていない」とは一体なにを根拠に言っているのでしょうね?

過去にも「脱・ガソリンエンジン」を模索した時代があった

画像: トヨタ・スポーツ800 ガスタービンハイブリッド

トヨタ・スポーツ800 ガスタービンハイブリッド

確かに、CO2の排出量削減や一定数のEV車の販売が義務付けられる国もありますから、自動車メーカーは必然的にそういったクルマを開発することは紛れもない事実ですが、全てが全てEVになると考えるのは時期尚早です。

過去にもガソリンエンジンの代替としてガスタービンエンジンの開発が盛んに行われ、モーターショーにもコンセプトカーが展示された時代がありましたが、残念ながら主力になるどころか現在市販されている乗用車の中でガスタービンエンジンを搭載しているものは1台もありません(シリーズハイブリッドの発電機として再注目されていますが)。

正しく情報を伝えるのがメディアの役割

画像: 正しく情報を伝えるのがメディアの役割

このように、今回の東京モーターショーも決して盛り上がっていなかったわけではなかったのです。もちろん全てが完璧というわけではありませんが、我々自動車に関わるメディアの役割としては、小姑のようなケチをつける記事を作るのではなく、行ったことのない人に対しては「行ってみたいな」と思わせ、行った人に対しては「こんなところもあったのか」と新たな気づきを与えられるような前向きな記事を作ることだと、決意を新たにしたのでした。

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